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葬式とは

葬儀の心得

深い縁に結ばれた人との人生最後の厳粛な別離の儀式ですから、意義深くつとめます。

わたくしたちは、ただ形式的に葬儀を行うのでなく、また見栄にとらわれてむやみと華美にわたることなく、浄土真宗のみ教えにそって行わねばなりません。

なき方をしのび、浄土に往生させずにはおかぬ如来の大悲を仰いで、心からお念仏をとなえましょう。

知っておきたいこと

  • 法名
真宗では仏門に入ったしるしとして「釋○○」と法名をつけます。
  • 院号
院とは、元来お寺のことですが、そこに居住した人に、その院の名をつけた贈り名が院号でした。現在では、篤信の方や寺門の護持につくした人におくられる敬称として用いられています。
  • 御布施
ふつうには、法施(読経や説法)に対する財施(金品)のことです。しかし、本来は仏さまへ感謝の思いで供えるもので、読経等に対する報酬ではありません。表書は「御布施」と書き、御経料、志、寸志、御礼などとは書きません。
  • 脇導師・役僧
本来、葬儀の場合、導師(所属の寺の住職)のほかに僧侶の方をお願いします。磬をうち、導師の読経に唱和し、また袈裟・衣のお世話、式場の荘厳の準備のなどにあたります。
  • 永代経
永代読経のこと、お寺がいつまでも続いて末永くお経が読まれ、み教えを聞くことができて、仏法が子々孫々に伝わるようにとの思いで寄せていただくのが永代経懇志です。それにちなんで、毎年開かれる法座が永代経法要です。
  • 新盆(ニイボン・アラボン)参り
会津では新盆のお家は八月一日に冬木沢・古峰ケ原にお参りする風習があるようですが、わたしたち浄土真宗の門徒は、所属のお寺にお参りします。

浄土真宗の用語

浄土真宗では葬儀において一般に用いられている言葉とは違う言葉を用います。

代表的な例を次に挙げます。

一般の言葉                 浄土真宗の言葉                                                            

祭壇                    荘厳壇

祈る                    念ずる

冥福を祈る                 哀悼の意を表する

黙念                    合掌・礼拝

戒名                    法名

魂・魂魄・御霊               故人

安らかにお眠り下さい、おやすみください   私たちをお導き下さい

幽明境を異にする              み仏の国に生まれる

天国に昇天する・永眠する          浄土に往生する

草葉のかげ                 お浄土・み仏の国

引導を渡す                 (引導を渡すことはないのでそれに対する言葉はありません)

 

葬儀の流れ

会津地方の浄土真宗の基本です。他の地方や他の宗派の方は実状と合わない部分があるかもしれません。

■通夜まで

死亡⇒遺体の引き取り⇒臨終⇒死亡通知⇒臨終の荘厳⇒入棺⇒葬儀準備⇒通夜(通夜の挨拶例)

■葬儀まで

葬儀(遺族代表の挨拶例)⇒出棺⇒還骨⇒葬儀のあと

■その後

中陰⇒納骨⇒年忌法要

通夜まで

死亡
  • かかりつけの医師か、いなければ近所の医師に来てもらいます。

  • 医師が来るまでに遺体を動かしたりしてはいけません。

  • 医師に来てもらえないときは、警察に電話して警察医に来てもらいます。死因に疑問があれば、警察の手で行政解剖の必要な場合があります。

  • 医師に死亡診断書をもらい、死亡地の役所・役場に死亡届をだし、埋・火葬許可証をもらってきます。病院で死亡した場合は、ほとんど死因がはっきりしているので、死亡診断書はすぐに作ってもらえます。

  • 遺体の処置も病院がしてくれるはずです。ただし、引き取りには、病院の指示に従わなくてはなりません。

  • 死亡診断書はその後の葬儀終了まで重要ですので大事に保管します。死亡届は二十四時間いつでも受け付けてくれます。

  • アイバンク・腎臓バンクなどに登録している場合は、病院にその旨を知らせて連絡してもらいます。昼夜に関係なく医師が駆けつけ摘出手術をおこない、見た目には手術前と変りない姿に復元して戻してもらえます。

遺体の引き取り
  • 病院でそのまま葬儀をすることはできません。病院で葬儀社の寝台車を手配してもらいます。

  • 自宅まで遺体を運ぶことのできにくい遠方で死亡した場合、現地で火葬してお骨にして持ち帰ることもあります。この場合、現地で密葬、あるいは仮葬儀を行い、自宅に帰ってから改めて本葬をおこないます。

  • 遺体の引き取りには、事務的・金銭的処理などの事柄が多くあります。万事決断のできる近親者ほか二名位は出向く必要があるでしょう。

臨終

臨終にあっては、遺族は気が転倒して冷静な判断を失いがちですから、近隣の方などを通じて、まず自治会などの世話役の人などへ知らせてもらいます。

室内の整頓をし、遺体は清浄にして、白布で顔を覆います。その際は着物を左前にしません。遺体は、お仏壇の正面をさけ、北枕に安置します。部屋の都合で出来ないときには、これにこだわる必要はありません。

お仏壇に灯明をあげて合掌礼拝をすませ、役員の人達を待ちます。そうした組織がなく、葬儀社が葬儀の進行をするところでは、そこへ連絡します。

~以後、葬儀進行は、遺族の手からはなれて、自治会、知人などが主体になって行いますので、こまかいことまで口をはさむのは慎まねばなりませんが、真宗門徒としての筋だけは通しましょう。葬儀社に対しては、当方の宗旨、希望を充分にのべ、よく打ち合わせしておくことが必要です。~

  • 遺族で準備すること

    • 遺影にもちいる写真

    • 弔辞の依頼

    • 清掃と整理
      (自宅で通夜や葬儀をする場合は、式場のスペースをつくらねばなりません。混乱の無いよう、お手伝いの人がして下さるまえに、荷物の整理をしておきましょう。)

    • 喪服の準備
      (喪主や遺族でも、通夜の前までは喪服でなくともいいでしょう。通夜、葬儀、告別式には喪主、遺族は正式な喪服を着用します。児童、生徒、学生は学校の制服でけっこうです。)

  • 葬儀の責任者となった人は、遺族と相談して次のことをきめ、準備します。

    • 所属するお寺へ急ぎ連絡し、臨終勤行をお願いし、お迎えにうかがいます。

    • 臨終勤行後、お寺と相談し葬儀の日時と場所を決め、その他の指示を受けます。

    • すでに法名をお受けしている方の場合は、その旨をお寺に申し出ます。

    • 通夜、葬儀の日時、場所など重要事項に関しては、なるべく早くお寺に連絡し、相談のうえ決めて下さい。

  • 通夜、葬儀の場所

    • 自宅、お寺、集会所、葬儀場など、会葬者の人数など考慮に入れ決めましょう。

死亡通知
  • 親戚、勤務先、知人に知らせる手配をします。

  • 電話や口頭で伝えるときは、冒頭の挨拶ははぶき、用件をまず伝えます。

  • 通知先に、ある程度の連絡のお世話を依頼してもよいでしょう。むしろ親戚、友人、関係先の主な方に、ある程度お願いした方がよい場合があります。

  • 連絡先例
    …親族・勤務先・親しい友人・趣味の仲間・学校・仕事関係先・隣近所等

  • 折角(セッカク)の使い
    会津地方では死亡通知を折角(セッカク)の使いといい、お手伝いの者2名で服装を整え、お知らせに歩きます。

臨終の荘厳
  • 臨終勤行(枕経)は、お仏壇の前でつとめますので、お仏壇の前に遺体を安置し、扉は開いておいてください。

  • 遺体を安置した部屋にお仏壇がない場合は、ご本尊(阿弥陀如来のご絵像、または南無阿弥陀仏の六字名号)をお掛けして礼拝できるようにします。

  • お仏壇のご本尊をお移しした場合は、扉を閉めておきます。

  • お仏飯は仏飯器に盛ってお仏壇にお供えします。

  • 花瓶にはしきみ・青木等の常緑の葉を挿します。

  • お荘厳は華美にならないように心掛けてください。

  • 両手を胸元で合掌(組み合わせ)させて、念珠をかけます。

  • 遺体の上には、守り刀等の刃物類は置かないで、お経等をおきます。

  • 浄土真宗では、勤行は遺体ではなく、ご本尊にむかってお勤めします。

  • お仏飯はご本尊(阿弥陀仏)にお供えするのです。故人常用の茶碗等には盛らないでください。

  • 遺体の枕元には、お茶・お水・お膳やだんご、お箸を立てた一膳飯などは、お供えしません。

入棺
  • 湯潅…浄水を沸かして(現在ではアルコールを用います)遺体の身体を清浄にします。(病院で死亡した場合は病院で済ましています)そして故人が生前に愛用していた衣服あるいは式服などを着せ(着せるのが困難な場合は上に掛けます)、合掌させて念珠をかけます。

  • 納棺の時に経帷子を着せたり、三角布や手甲、脚絆をつけたり、六文銭、杖、わらじなどを持たせるようなことは必要ありません。(真宗では浄土に往生するのです。

  • 柩は七条袈裟(または棺かけ)で覆います。

  • 入棺の手伝いの人の装束に決まりはありません。こざっぱりした服装がいいでしょう。

葬儀準備
喪主をきめます。

故人と縁の深い人が喪主になります。主人が亡くなると、妻あるいは長男、他家へ嫁いでいる娘がなるときもあります。配偶者や子供のいない場合は兄弟がなります。喪主は遺族を代表して葬儀を行い、弔問を受けます。

世話役をきめます。

喪主が葬儀の代表者ですが、悲しみや看病疲れ、来客との応対など、葬儀の進行をすべて指図するほど余裕のないのが通常です。世話役は、喪主に代わって葬儀の進行をはかります。

仕事の分担

係内容

葬儀委員長・お寺、遺族、葬儀社と打合せ
・全体の進行の運営
・代表としての挨拶

会計係
(複数でおこなう)・喪主より当座の費用を預かり、葬式終了までの一切の費用の出納、金銭の管理
現金出納帳の記入、レシート・領収証の保管
・受付係より預かった香典の現金との照合、保管

受付係
(地域・会社・友人関係などで)・供物、花輪、香典の受付、記帳
・弔問客の氏名、住所の記帳
・会計へ香典の引継

会場係・寺、役所などの連絡
・葬儀の通知
・式場の設営
・式場の案内
・駐車場の確保、交通整理

接待係・僧侶控え室の用意
・僧侶・弔問客の接待
・茶菓、飲食物の用意
・遺族、世話役の食事の世話

台所係・遺族、世話役と料理を打合せる
・茶・酒の準備、仕出しの手配
・料理作り

進行係・僧侶との打合わせ
・葬儀社との打合せ
・弔電の整理
・葬儀の司会・進行

自動車係・車の手配
・僧侶の送迎

 

通夜

通夜には僧侶をお招きし、通夜勤行をしていただきます。通夜は本来、近親者が遺体の枕元や、荘厳壇に、ろうそくをつけ、お香をたき、故人の遺体とともに一晩を過ごしたものです。現在では僧侶を招き、世の無常の教えを聴聞するようになり、近親者以外の人も出席するようになりました。

通夜の席で勤行後、弔問客に飲食を供するのが習慣になっていますが、精進料理、精進寿司、つけものなどで、なま物は避けたいものです。はじまりのまえには喪主が弔問のお礼のあいさつをいたします。

通夜には失礼にならぬよう、服装をととのえてお参りします。

  • 通夜の準備

    • 式場の整理(参列者の人数を考慮し、式場をつくる)

    • 客の接待の場所(勤行後式場を片づける、別会場を用意する)

    • 僧侶のお迎え・着替えの場所

    • 台所係の準備(お茶・菓子・料理)

    • 花輪・生花をお供えする場所を用意する

    • 駐車場の確保(近所の空き地・駐車場を借りる)

  • 通夜勤行 式次第

    • 参列者着席

    • 僧侶入場

    • 読経

    • 焼香

    • 御文章拝読

    • 御法話

    • 僧侶退場

  • 通夜での喪主の挨拶例
    「本日は、故人のためにわざわざお通夜のご焼香をたまわりまして、ありがとうございます。
    故人もお集まりいただきましたみなさまにこのように暖かく見守られまして、さみしい中に喜んでいてくれることと思います。
    用意いたしましたものなど召し上がりながら、故人の在りし日のことなど、お聞かせいただきたいと存じます。」

葬儀まで

葬儀
  • 葬儀 式次第(一例)

    • 会葬者着席

    • 開式の辞

    • 導師入場

    • 合掌・礼拝

    • 読経

    • 弔辞・弔電

    • 焼香

    • 喪主謝辞

    • 合掌・礼拝

    • 導師退場

    • 閉式の辞

式場が狭くお焼香に動きにくいと思われるときは、お盆に炭をいれた香炉とお香を用意しておきます。(お盆をまわして焼香します)

  • 葬儀の荘厳
    ご本尊(阿弥陀如来のご絵像、または南無阿弥陀仏の六字名号)が隠れないよう注意し、礼拝できるようにおかけします。浄土真宗ではどんな場合でも、ご本尊に向かって勤行(おつとめ・読経)をするのが宗風です。

    • 柩は七条袈裟(棺かけ)でつつみ、守り刀等は置きません。

    • 焼香にはお香を使用するのが原則ですが、線香を使う場合は立てずに、長ければ折って寝かせます。
      ・ 焼香卓に香炉・香盒を用意します。荘厳は五具足(香炉を一個・燭台を一対・花瓶を一対)または、三具足(香炉を一個・燭台・花瓶)です。

    • 花瓶に四華(紙花)をたてます。(紙花は白色、花瓶の双方に4本づつ)

    • お茶・お水・お箸を立てた一膳飯などは、お供えしない宗風です。

    • 供物は、お仏飯、餅、果物、菓子等を供えます。

    • 葬儀式場の玄関脇等に盛塩・水桶・竹箒などは置きません。

    • 葬儀開式時(または着座合図時)に正しい焼香の仕方を説明しておいて下さい。
      <浄土真宗の焼香の作法は、お香を右手でつまんで、いただかずに香炉の中に一回くべ、念珠をかけ、合掌・念仏・礼拝いたします。>

    • 弔電は会葬できない者がおくやみをのべるので、披露するものではありません。進行係が代わりに読み、仏前に奉呈いたします。

  • 遺族代表挨拶の一例
    「本日は、ご住職様にはわざわざおでましいただき、誠にありがとうございました。故人生前中は皆様より格別のご厚情をいただき、誠にありがとうございました。
    故人は百才を一期にお浄土に帰りましたが、まだどこかに出かけているだけのような気がします。きっとお浄土で阿弥陀様とともに見守っていて下さるのだと思います。
    本日このように盛大なお見送りをいただきまして、故人も喜んでいると存じます。重ねてのお願いとなりますが、残る遺族一同にも故人同様のご厚情を賜りますよう、お願い申し上げます。誠に粗略でありますが遺族を代表して、お礼の挨拶といたします。」

出棺
  • 出棺にあたっては、故人使用の茶碗を割ったり、柩の蓋を石で打ったり、柩を回す等のことは必要ありません。

  • 玄関から出るのが原則です。

  • 会葬者は合掌して見送ります。

還骨
  • 荘厳壇は正面にご本尊(阿弥陀さま)を安置し、そのまえにお骨を安置し、法名と写真をおきます。前に机を置き 向かって左に花瓶、右にろうそくをたて、中央に香炉をおき、香盒、りんをおきます。

  • 正面にお仏飯を供えます。お膳は供えません。

  • お仏壇の扉は閉じないで、開いておきます。(臨終勤行の時と同じです)

  • 清め塩を使用する習慣は根強いものがありますが、真宗では用いないのが正式です。

葬儀の後
  • 事務引継
    一般に喪主は還骨が終わったのち、葬儀委員長立会のもと、会計係・受付係などと現金・各種帳簿などを内容確認の上引き継ぎます。立て替え金などあれば清算しておきます。
    会場をお借りした場合は、お礼の支払い・会場の清掃・供物の引き取りなど手落ちの無いよう遺族の方が最後の確認を行うようにしましょう。

  • 残務整理
    最後の看病から、臨終、葬儀にいたるまで、気の休まる暇のない日が続きました。でも、最後に残されたことがいくつかあります。

    • 病院への支払い、医師・看護婦さんへのお礼の挨拶

    • 葬儀社への支払い

    • 借りた物の返却

    • 自宅の片づけ(人手のいるうちに家具など重い物は元に戻しておく)

    • 自宅周辺の清掃

    • お世話になった方へお礼の挨拶

    • 健康保険・生命保険・年金などの事務処理

    • 各種免許証等の返納

    • 勤務先への死亡退職届け

    • 諸契約の名義の変更(公共料金・債権・借地借家など)

    • 不動産などの名義変更

    • 銀行、郵便局等の預金等の口座名義変更・預金等の解約と支払請求

    • 税務署へ相続税の申告、医療費控除の還付請求、所得税確定申告

その後

中陰
  • 中陰は、命日(亡くなった日)から数えて四十九日の期間のことであって、その間、七日目ごとに仏事をつとめ、四十九日目を満中陰といいます。

  • 中陰壇はお仏壇の前に飾るのが原則です。三具足(香炉・燭台・花瓶)を用意します。

  • 中陰壇をお仏壇の前に飾れない場合はご本尊(ご絵像、またはお名号)をおかけします。

  • 亡くなった日から百日目を百カ日といいます。お寺にお参りしましょう。

  • 毎月の命日を月忌といい、同月同日を祥月命日といいます。(おまいりを希望される場合はお寺にお願いします)

納骨

満中陰の時に納骨し、過去帖に法名を記入して、白木の位牌はお寺に納めます。墓地がまだ無い場合、お寺などに相談し、墓地のできるまで一時預かってもらうようにしましょう。

年忌法要

亡くなった翌年から祥月命日に行う仏事を、年忌または年回法要といい、一般にはつぎのようにお勤めします。

  • 一周忌 亡くなった年の翌年(以降、亡くなった年を一として数える)

  • 三回忌(一周忌の翌年です)

  • 七回忌

  • 十三回忌

  • 十七回忌

  • 二十三回忌

  • 二十五回忌

  • 二十七回忌

  • 三十三回忌

  • 三十七回忌

  • 五十回忌

  • ・・・以後五十年ごと

     

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