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法事とは

法事と言えば1周忌、3回忌などの年忌法要(年回法要)を思い浮かべる方が多いことでしょう。

ところでこの法事、亡き人を縁に勤められることから“亡き人のため”に勤めるものと思っている人がいます。「故人の霊魂(たましい)を慰めるためにお経を上げる」とか「法事を勤めることによってご先祖を安心させて上げる」といった認識の、いわゆる追善供養の意味合いです。

しかし、亡き人は如来さまのお救いによって、すでにお浄土に参られているのです。したがって、亡き人のために善をふり向ける(追善)必要もなければ、またそんなことができる“りっぱな”私でもないでしょう。

法事というのは「仏法の行事」ということで、この仏法は、ほかでもない“私自身のため”のものです。すなわち、法事の場に参集した家族、縁者の一人ひとりが仏法を自分のこととして聞き味わってこそ、意義あるものとなるのです。亡き人を偲(しの)びつつ、この私が仏法を聞く行事-これが法事です。

法事というのはそもそも、仏法僧の三宝供養の心から行われるものなのです。つまり、如来さま(仏)とその教え(法)、それに教えを伝える僧を心から敬い、如来さまへの報恩感謝の気持ちで営まれるわけです。したがって、親類や縁者を集めた上で僧侶を招き、報謝の心からみ教えを聞き慶んでこそ“施主”であり、当然、法事の準備進行には責任を持ってもらわなければなりません。

それでは、具体的にどう進めればよいかを少し述べてみましょう。

  1. まず、お招きした僧侶のために、勤行の時にすわるお仏壇前の座のほかに、休んでいただく控えの座を用意します(僧侶が到着したらそこへ座っていただく)。

  2. 時間前になったら、僧侶には衣(ころも)に着替えていただくよう案内し、自らはローソクに火をつけ、線香をくべ、焼香用の香炉に火だねを入れます。

  3. これらの準備が整えば、参拝者、続いて僧侶に所定の座(僧侶は控えの座)についてもらい、開式のあいさつをします。そして僧侶にお勤めをお願いするわけです。読経中の焼香は僧侶の指示に従い、手際よく行います。

  4. 読経がすんでも、続いてご文章の拝読や法話がありますので、気をゆるめず静かに聴聞(ちょうもん)いたしましょう。

  5. 法話がすむと、味わいも含めて僧侶にお礼を述べ、法事は閉式となりますが、お斎(おとき:食事)があれば、その旨を告げ、準備にかかります。お斎はできれば精進料理がよいでしょう。

なお、法事の時には式章(しきしょう)をかけるのが正式です。

 

※「仏事のイロハ」 著者:末本弘然 発行:本願寺出版社 より部分引用しました。

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